スキャルピングにおける「ナンピン」の有効性と危険性について解説!実行に適した局面や注意点もご紹介

「FXで稼ぎたいけれども、長時間、モニターの前に座っている時間がない」という方は、ポジション保有時間が数秒から数十秒の超短期トレードである「スキャルピング」を行うことをご検討ください。

ところで、スキャルピングをしていると、含み損を抱えてしまうケースがあります。

その際に「ナンピン」と呼ばれる手法を用いることで含み損を減らせる場合があります。

ただし、相場が戻らない場合は逆に損失を拡大させてしまうリスクがあることを覚えておきましょう。

ここでは、スキャルピングにおけるナンピンの有効性や危険性について解説し、実行に適した局面や注意点もご紹介します。

ナンピンの有効性

スキャルピングでは、「上がる(下がる)と予想していたのに、ポジションを保有してから下がった(上がった)」という状況にしばしば直面します。

「ナンピン」とは、このような「思惑と逆方向に相場が動いた状況」において、ポジションを追加することによって平均取得価格を下げる(または、上げる)ことによって含み損を減らす手法です。

ちなみに、漢字では「難平」と表記されます(「難を平らにする」=「含み損を平均化する、減らす」)。

例えば「1ドル=100円のタイミングで1万ドル分を円で買った」というケースでは、思惑とは逆に1ドル=96円になると「4万円分の含み損」を抱えてしまいます。

この状態での平均購入価格は100円であり、含み損を解消するために必要な相場の揺り戻しは「4円」です。

しかし、1ドル=96円のタイミングで1万ドル分を円で追加購入する(ナンピンを行う)と、含み損の総額は「4万円」のままですが、平均購入価格が100円から98円に下がり、当初よりも少ない「2円」の相場の揺り戻しで含み損を解消することが可能になります。

このように「含み損を解消するために必要な揺り戻しの幅を小さくする」という効果があるので、思惑と反対方向に相場が動いた際にはナンピンを行うことも検討しましょう。

ナンピンに潜む危険性

ナンピンは「相場が一方方向に進み続け、揺り戻しが起こらない局面」においては、含み損を拡大させるリスクがあることにご留意ください。

例えば「1ドル=100円のタイミングで1万ドル分を、さらに1ドル=96円になったタイミングで1万ドル分を円で購入した」というケースでは、上述した通り、「含み損は4万円、平均購入価格は98円」という状態になります。

ここから価格が上昇に転じ、98円以上にまでなれば、含み損を解消することが可能です。

しかし「1ドル=94円」にまで価格が下がった場合、含み損は「1ドル=100円」の時点で購入した分の「6万円」、および「1ドル=96円」の時点で購入した分の「2万円」を合わせた「8万円」になります。

大事件が起こったり、金融当局の重大発表が行われたりした際は、一方的に価格が下がり続けるケースがしばしば発生します。

その場合は、ナンピンを行ったことが原因で当初よりも損失が拡大する結果になることを覚えておきましょう。

ナンピンを行った後で「価格の揺り戻しが起こらず、一方方向に動いていく状況」に直面した場合は、早めに損切りを実行してください。

ナンピンを実行するのに適した局面

上述した通り、一方方向に相場が進んでいく局面では、損失を拡大させてしまうリスクがあるので、ナンピンを避けることをおすすめします。

ただし「レンジ相場」が形成されている局面においては、すぐに価格が元の水準に戻るため、ナンピンが有効です。

レンジ相場とは、ある一定の変動幅の中で価格が上がったり下がったりする状態を指します。

それに対し、一方方向に価格が動いていく状況は「トレンド相場」と呼ばれることを覚えておきましょう。

なお、「相場の行方を決定する材料に乏しい状況」や「先行きが不透明な状況」では、レンジ相場が形成されやすい傾向があります。

ナンピンを実行する際は、移動平均線などのインジケーターを用いて複数の時間足のチャートを分析し、レンジ相場が形成されていることを事前に確認しておきましょう。

ナンピンを実行する際の注意点

スキャルピングは「ポジション保有時間が数秒から数十秒程度」という超短期トレードです。

そのため、相場の反転を待っている時間的余裕がないことにご注意ください。

価格が戻るまで何十分も待っているようでは、もはや「スキャルピング」とは言えません。

スキャルピングをしていて含み損が生じても「短いタイムスパンの中でレンジが形成されている」という状況以外では、ナンピンすることは避けましょう。

速やかに損切り(保有しているポジションの決済)を行って、エントリーをしなおすことをおすすめします。

この記事が、スキャルピングにおけるナンピンについて知りたい方のお役に立つことができれば幸いです。